議論とデザイン

デザイナーをやっていると、疑問に思う事がある。
その一つに、「会議中に議論だけで、UIデザインが決定しようとする」事がある。
新しい機能を付ける時。UIを改善しようとしている時。必ずそういう場面に出くわす。

「こうこう、こうしたら良いんじゃない?」
「ここにボタンを配置すれば良いと思います!」
「ここ押したらさ、バコッとモーダルが開くので全て解決じゃない?」

中にはハッとする意見もあって、ブレイクスルーする時もある。
でも、大抵はダメだ。良かった事なんて殆どない。

UIとは、インターフェースという「絵」を操作する事であって、「絵」で考えて・「絵」で検証しなければならない。

というのが僕の持論です。

絵無しで、言葉だけで議論して決めてしまうのは、言わば机上の空論というヤツである。
論理的で賢い人が言った言葉は思わず頷いてしまう事も多い。しかし、実際それを絵に落としこむと「あれ?」ってなる事も少なくはない。それに言葉でUIの事を話すというのは十人十色のイメージがあり、共通認識を持つ事が難しいという欠点もある。極めつけは、結局は頭が良く議論が強い人の意見がその場で決まってしまうケースが多い。

でも、あくまでもUIってのは基本的に「絵」なんです。「言葉」ではないのです。

なので、デザイナーは可能な限り事前に考えつくされた絵を用意しておく事が重要だ。
それができない状況であれば、会議中の話は聞きつつ、次の会議でもっと良い案を考え、形にし「こういう理由でこっちの案のほうが良くないですか?」と提案する事が重要である。

言語化する事はビジネスにおいて最重要なスキルの一つだが、UIにおいては実物を作り、触って、感覚的に検証する事がもっと重要な事である。

ちなみにコレは新しい事業を考える時にも有効な方法である。何日間もかけて、えんえんと議論をして事業の事を話し合うよりも、とりあえず形にしてしまう事の方が重要だ。議論っていうのは、仮説や自分の確固たる意見がない限り、ただの妄想だと思う。それに多くの時間を無駄に費やす場面を沢山見てきた。議論するよりも形にして前に進める事が事業の最短距離だと感じています。(生意気言ってごめんなさい)

※今回はあくまでもWebやアプリのUIデザインに対するものであり、広告デザインやグラフィックデザイン、ビジュアルを制作する時は考え方が異なると考えています。