マウスピースと初夏の空

格闘技のスパーリング用に、マウスピースの型取りをしてもらった。
当たり前だけど、スパーリングは危険なので、歯や口の中を守るマウスピースの装着がマストになってくる。

マウスピースは、Amazonや楽天にも安価な品が腐るほど売っているのだけど、扱うまでが結構大変だし、何よりも大抵の人の口に合わないと思う。

市販のマウスピースは、まず熱湯に漬ける。すると、素材が柔らかくなるので、少し冷まして、歯に装着。軽く噛みしめる。そのまま手で押さえたり、口の中の空気を吸引して、なるべく真空状態になるように、歯並びのアーチに密着するよう頑張ってキープ。数分後、口の中に水を入れて冷やすと形状が自分に合うように固定される、、という長いフローを巧みにこなしてやっと使えるようになる品だ。

でも、この難しい作業を完璧にこなしても、おそらく80%くらいの人の歯には合わないと思う。

僕は市販のマウスピース、3商品を試したからわかる。

口を開けると入れ歯のように外れるし、常人が理解できる言葉を発声することが不可能になる。そもそも装着してると異物感で定期的に吐き気が訪れる。極めつけは、市販のマウスピースは厚いので、びっくりするほどゴリラ面になる。

ぶっちゃけ、市販のマウスピースを装着しながらスパーリングしている人を観てると笑えてくる。めちゃくちゃ真剣に、口元が膨らんでゴリラぽい変顔のまま、口から外れないよう必死に耐えながら殴り合っているのだ。スパー後にまともに「ありがとうございました」も言えない、、「アウガォゴマタ」みたいな発声しか不可能になるのだ。

自分も市販のマウスピースでスパーリングを体験したからわかる。もうそれどころではないのだ。

気づいてしまった。自分の歯型にきっちり合ったマウスピースを作らないと強くはなれないと。

そこで普段から噛み合わせを見てもらっている先生の歯医者に駆け込んだ。先生は、噛み合わせの名医で数々の有名トップアスリートの噛み合わせを調整しているゴッドハンド(紹介して欲しい人がいたらTwitterとかでDMください)。

先生も20代の頃はMMAファイターとして、試合に出ていた猛者なので、僕がキックボクシングを始めたことにどこか嬉しそうだった。「ウチで取り扱っているマウスピースは、トップファイターが使ってるものと同じ物をだからね」と嬉しそうに説明してくれた。

このブログを公開した二週間後には、僕はトップファイターと同じマウスピースを装着しているだろう。この夏は強くなる。初夏の空を見上げて誓った。

P.S. 市販のマウスピースの悪口ばかりを書いちゃったけど、Shock Doctorというメーカーの商品はかなり良かったです。