合法的に、無力、絶望、恐怖を感じる方法

格闘技が強い人と対峙すると巨大に見える。冗談でなく、漫画「キングダム」に登場する将軍のように大きく見える。おまけにこちらの動きも考えさえも、軽々と見透かしてしまっているような、そんな雰囲気を身に纏っている(実際見透かしている)。

こちらがどんな攻撃を仕掛けてもカウンターが飛んでくる。カウンターが怖くなり近づけなくなると、追い詰められてパンチとキックで仕留められる。足を使って逃げても最短距離で追撃される。

はっきりと心が折れる。無力、絶望、恐怖を同時に感じる瞬間だ。

この経験から、少しだけ、ほんの少しだけ、言葉にするのもおこがましいけど、那須川天心選手 vs 皇治選手 or 裕樹選手の一方的な試合を理解できたように思う。自分のような格闘技ジムの一般会員でも思う、無力、絶望、恐怖の最高峰が、彼らの試合なのかもしれない。

しかし、格闘技の上達はこの、無力、絶望、恐怖を理解して初めてやってくるものだと信じている。このトラウマになりそうな3要素と向き合いうことをやめてはいけない。

そもそも合法的に、30歳を過ぎてから、無力、絶望、恐怖を同時に感じられる場面なんてそうそうない。この状況を楽しみながら継続していこうと思った。