チバユウスケが死んだ。
有名人の生死に興味はなかった。チバユウスケの訃報を知った時も、最初は少し驚いた程度だった。
癌になった事はニュースで知っていたし、やっぱりダメだったか..と少し落ち込んで、勢いでゲットアップルーシーと、ROSSOの1000のタンバリン、アウトサイダーを聴いた。
その後、立て込んでいる仕事に没頭して、忘れてしまったが、いま(24時)湯船に浸かりながら、シャロンを聴いたところ。想像以上に傷ついてしまった自分に気づいた。
俺は、チバユウスケがあまり好きでなかった。
本当に好きだったのは、浅井健一やブランキージェットシティだった。同じ時代に生まれたロックバンドとして、ブランキーとミッシェルはよく同じ文脈で語られていた。歌詞や使っているギターも似ている所があり、僕は、チバがベンジーを真似してたんじゃないかと疑っていた(そんなことあるはずないが)。それほど、どこか感性も似ているバンドだったのだ。
人と音楽の話をして、日本のロックンロール話になると、みんなミッシェルやチバユウスケの話を嬉しそうにした。ブランキーの話をしても「ああ、ブランキーね!かっこいいよね」と知ったかぶりをされて、またチバユウスケの話に戻る。そんなシーンを幾度となく経験した。
わかるよ。ミッシェルの曲も声も、振る舞いも、キャッチーで耳に残って、いい具合にポップだもん。そこにチバのディストーションヴォイスがあってロックに昇華するもんな。ステージに映るシルエットを見ただけで、選ばれし者だって直感的に理解できる。
わかる。ぶっちゃけ、ブランキーの一番おすすめの曲を教えてって言われても、結構答えに困るもん。
チバユウスケの曲だったら、とりあえずシャロン聴いとけとか、スラダンの挿入歌聴けとか、とにかく頭の中に10以上の曲、簡単に浮かぶもん。
そんだけチバユウスケって偉大だったんだなって、俺はチバの声も曲も好きだったんだなって生歌聴けなくなって気づいた。
フェスに出演しても、敢えて観ないよう避けてきたし。
まあでも考えてみたら、ミッシェルもROSSOもバースデイの初期とかも、結構な数の楽曲をギターでコピってきた。友人と組んでたバンドでも、カラオケでも、チバの歌真似をよくしていたし、自分的には結構ハマってる気さえしてたっけ。
チバユウスケが死んだことがきっかけで、斜に構えていた自分が真っ直ぐになるなんて、悲しいよね。