車窓から

いま僕は新幹線に乗って越後湯沢駅に向かっている。毎年恒例のフジロックへ行くためだ。半ば惰性で行っているこのイベントに何のモチベーションもないが、フジロックでしか会わない友達と会えることに意外と胸躍っている。

毎年同じ時期に同じ場所に行くと、記憶と現状の比較というか、去年の自分と比べたり、振り返ったりする機会となっている。

ただ、今年は決定的に違うことがある。

かれこれもう、10年近く一緒に行っていた平尾くんがいないことだ。破天荒でピースな彼が隣の席に座っていないことは、例年と大きな違いだ。

彼のアーティストが奏でる音楽をBGMにひたらすらスマホ数台を駆使してポーカーをプレイする姿にはいつも感銘を受けている。

フジロックだからアーティストを観なきゃ、聴かなきゃ、踊らなきゃ!みたいな固定概念をすべて忘れることができる。

そんな彼に影響を受けたのか、過去にストイックにアーティストを追った自分はもういない。

ある年は、宿で過ごし、ある年は、ひたすら会場で反社系の漫画を貪り読みながら過ごした。

そんな彼がいないフジロックに今俺は向かっている。俺は果たしてどう過ごすのか。そもそも今年のフジロックは誰が出るのだろう?少しだけ調べてみようか。